知識のムラと偏りはひとそれぞれで外からはみえません
「そっちはわかっているかもしれないけど、こっちは知らないんだよ」
お客さまに言われて、はっとしました。
後見なきことの証明書の請求の仕方を説明していたときのことです。
自分にとっての「日常会話」がお客さまにとっては初めて聞く単語の連発だったわけです。失礼しました。
三六協定
専門用語を当然のように使うのは、相手に対して不親切なのはわかっています。
でも、こういうしくじりをときどきやってしまいます。
以前、社会保険労務士さんと話しているとき、さらっと言われた「三六協定(さぶろくきょうてい)」がわかりませんでした。
そのときは会話をさえぎって教えてもらいました。私が行政書士だし知ったふうな口をきいていたので、三六協定を知らないとは思わなかったようです。
私は三六協定を知らなかったし、その社会保険労務士さんは私が三六協定を知らないことを知らなかったのです。
知識にはムラというか個々人の偏りがあるのです。
相続放棄の手続
専門家同にしても意外な知識のムラがあったりします。
相続放棄について、司法書士さんも税理士さんも意義も法律的な効果はご存知です。しかし、実際の家庭裁判所での具体的な手続やどのような証明書が発行されるのかまではご存じでない方もおられるようです。
法律事務屋の私からすると、専門家が「相続放棄」がわかっているなら実際の家庭裁判所での具体的な手続やどのような証明書が発行されるのかまではご存じだろう、と考えてしまいがちです。実際はそうではないのでした。もちろん法律事務自体に明るい司法書士さんや税理士さんもおられます。ただ、専門家でも個々人の知識のムラはあるのです。話をしながらさぐっていき、必要ならば失礼のないように知識の補充をしなくてはなりません。枕詞は「先生もご承知のことですが…」です。
自分の常識は相対化して考える、は難しいです。ついつい自分の思ったことをいつも使っている言葉で話してしまいます。
相手がわからないことは「わからない」と言ってくれればいいのですが、言えないまま話が終わってしまうと意味が通じないままです。それは避けたい。せめて気軽に「わからない」とさえぎることのできる雰囲気はつくりたいものです。
そして「わからない」には丁寧に対応したいと思います。
以前、宅建業協会の入会手続きを代行したときに宅建業法にうとい私は何度も「わからない」を連発し、ずいぶん親切に説明していただいたことがありました。多分かなり初歩的な用語も知らない状態だった私にいらつきもせず、説明をつくしていただきまでした。私もそうありたい。
さて、今日も書面をつくりましょうか。