敷金が債権法改正で初登場! 定義がなかったのが謎

当たり前のことは、盲点になりがちです。

「敷金」って民法の条文上では、はっきりとした定義がありませんでした。

…その敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する(316条)

 というふうに条文に普通に登場するくせに、条文がたてられていなかったのでした。

敷金の定義
 「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」(民法第622条の2)が敷金の定義です。

 今回付け足された民法第622条の2では、敷金の返還は賃貸物の返還が先履行であること、賃借人からの敷金と賃料の弁済充当請求の禁止が規定されています。これまで判例で定まってきた運用が、まんま条文化してすっきりしました。

賃借人の原状回復義務
 賃貸物件の敷金は、まず満額返ってきません。敷金トラブルはネットで検索するといくらでもでてきます。平成28年度に東京都都市整備局に寄せらせた相談内容の集計によると、「退去時の敷金精算」が38%と最も多い相談内容でした。

賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
民法第616条の2
 「賃貸借の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」

 この条文も、そりゃそうだの内容です。これまで条文で規定されていなかったのが不思議なくらいです。

 当たり前のことでも、明文化されると引用しやすいし、わかりやすくなります。

わかりやすい法改正はグッジョブ。