商事利息と商事時効がなくなりました

 4月に入ってから、ビクビクしています。改正民法です。これまで、仕事のなかでらちょっとずつ覚えてきた民法の知識がゆらぐのです。どこがどう違うのか、仕事を通じて学びたいものですが、追いつきません。ボリュームが多すぎます。

 こまめに新しい条文を引くことを繰り返して、引き出しの中身を取り換えていくしかないのでしょうが、遠い道のりを感じています。

 そのなかでも、とり急ぎ頭に入れていかないとマズいのは商事債権と一般債権の法定利息・消滅時効の変更点です。日々の業務で必須です。

「商事利息」の条文削除で民法の法定利息に一本化
 今回の法改正で商法第514条が削除されました。商事利息は年6%ではなく民法の法定利息が適用されます。

 改正民法第404条によると年3%(3年ごとに利率が見直される。利率の決定基準は「利息が生じた最初の時点」)です。民事利息と商事利息と使い分けなくて済むようになりました。 

 法務省の資料によると、旧民法の法定利息年5%は民法制定当時(明治29年公布・31年施行)の市中金利を前提にしたもので、商事金利は民法の法定金利を前提としたもの(気持ち商事のほうが高め?)だそうです。100年以上前に決めた金利がまかり通っていたのです。

www.moj.go.jp/content/001255624.pdf

債権の消滅時効は商事でも10年
「これは商事債権だから5年」

過払金計算のときによく口にした言葉です。これからは、いちいち民事か商事か考えなくて済むので楽です。

 改正民法166条では「債権者が行使することができることを知った時から5年行使しないとき」「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」となりました。旧民法のように「債権は10年以上行使しないときは消滅する」と一律10年でないところは要注意です。

 かつての債権法はヘンな場合分けしすぎて意味がわからない(危険負担とか他人物売買とかのあたり)、あるいは言葉足らずで判例や通説で補っていた(債権譲渡とか債権者代位、詐害行為取消権)ので意味わからないの羅列でしたが、改正法では条文がだいぶ日本語に近くなったようにみえます。一気には無理でも小鳥が木の実をついばむように、ちょこちょこと使いながら覚えていくしかありません。

 新しい六法を買わなきゃだけど…高いです。これも必要経費か。