ぶ厚い相続戸籍フルセットが1枚の証明書に変身します
いまだファックスや郵便で書面のやりとりをしている裁判手続は、時代から後れています。
電話会議はできますが、当事者のどちらかが裁判所に出頭しなければダメですし、テレビ電話の会議も導入されていません。
同じく、相続手続もかなり要らない労力を費やす感じです。
金融機関はどこもヨコの連携がありませんから、独自の書類を求め、それぞれが戸籍のフルセット(被相続人の出生から死亡までの戸籍と除票、相続人の戸籍と住民票)の提出を求めます。
金融機関が現物を確認し、自分でコピーをとります。こちらがコピーを用意していっても受け取ってはくれません(コピーが済むまで待つのです)。
そして不動産の相続登記にも、被相続人の債務の承継や債権の受け取りも、戸籍のフルセットの現物が必要書類となっています。
金融機関はコピー後、戸籍フルセットを返してくれますが(一部すぐ返さない)、不動産登記などは一旦提出して還付申請をしないと返してくれません。
分厚い戸籍フルセットとやりとりするのは、面倒です。重いです。
昨年、ようやく『法定相続情報証明制度』というものができました。
法定相続情報証明制度
法定相続情報証明制度とは、管轄の法務局に戸籍のフルセットと相続人関係図などの申請書を提出すれば、『法定相続情報一覧図』を作成してもらえるサービスです。
法務局で戸籍を確認した上で作成される書類なので、戸籍のフルセットの代わりとなります。
しかも必要な部数をつくってもらうこともできますし、5年間は法務局が一覧表を保管しておいてくれるので再交付が可能です。
相続の必要書類がぐっとコンパクトになりますね。
本サービスの申出先は①~④のいずれかの登記所です。
① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地
なお、法定相続情報証明の申出には手数料はかかりません。郵送申請も可能ですので、法定相続情報証明制度は使いやすい設計です。
遺産分割が完了して、各金融機関に払い戻しの手続をとるたびに思うのですが、いいかげん『全国銀行協会統一書式』とかつくっていただけないものでしょうか。
それぞれの金融機関のそれぞれの独自の書類を代筆するたびに、そう思うのです。
だって必要な項目はそんなに変わらないはずです。
ひとつひとつの「独自マニュアル」を読みこんで、書類を書き込むのは結構神経をつかいます。
なんとかしてください。お願いします。
気を取り直して、今日も書面をつくりましょうか。