あることもないことも裏付けたいのです

法務局の方たちをわずらわせてしまいました。

 古い建物の登記事項証明書の申請です。

 戦後の混乱がおさまらない時代に建築された建物で、物件の特定があいまいな上に契約当事者も代替わりをしています。

 なにより昭和40年以前の建物なので、建物図面が保管されていません。

 所有者もあいまい、物件の建物番号もよくわからない、ということで、いろいろ調べていただきましたが、結局、こちらが把握していた建物番号が実際の建物番号と違っていたということまでしかわかりませんでした。

 目的の建物の登記事項証明書はとれずじまいでしたが、建物番号が違っていたという事実は持って帰ることができました。これも次の調査につながる有用な情報です。

 ときには「ないことの証明」も証拠になります。

「登記されていないことの証明」

 ないことの証明でいちばんに思い出すのは、これです。

 たとえば成年後見人になろうとするとき、建設業や不動産業の免許を申請するときにも必要です。

 後見・保佐・補助が付いていない=単独で法律行為を行える人間だ、という証明です。

 そういえば私が行政書士登録をするときにも提出しましたね。

「不在住証明書」

 住民票の逆です。申請書に記載した住所に該当する人物は住民票をおいていないということの証明です。

 虚偽の住所を名乗っていた場合の証拠になります。

「滅失したことの告知書」

 戦争や災害で戸籍などが焼失して出せない、という証明です。

 相続では漏れがないように戸籍をつなげていきます。

 現存しない戸籍があるのなら、告知書を添付しないと「戸籍の漏れ」と思われてしまいます。

「該当ありません」のスタンプ

 わざわざ「不在住証明」を申請しなくても、住民票を申請した職務上請求書に「該当者なし」のスタンプを押してもらえば、それで「不在住」の証拠になります。

 インチキ会社の登記事項証明書を登記所に申請したけれど、とれなかった申請書も「インチキ会社」の証拠になります。

 そういった事情が考えられるときは、便利な自動発行機はつかわず、あえて申請書を書いて申請して「該当なし」のスタンプをもらうようにします。

 裏付け証拠がものをいう世界にいると、つねにあることもないことも証明しようとする癖がつくのです。

 さて、今日も書面をつくりましょうか。