相手が行方不明でも公示送達すれば訴えることはできますよ

借りたお金を返さないまま行方不明になってしまった相手を訴えることはできます。

 訴状を提出すると、書記官が相手に送ります。

 行方不明の相手なら当然ですが、訴状は届きません。これで裁判はできないかというとそうではなく「公示送達の申立」をして裁判を続行します。

訴状が相手に届かないときの手続き

 訴状が相手に届かないときは、書記官から相手の住所に調査を求められます。

 こちらで調査してみて、その結果次第で次の手続を書記官が指示します。

 ・相手が訴状に書いた住所に住んでいるが訴状を受け取り拒否

  ⇒「付郵便の上申」

訴状は特別送達という特別な書留ですが、普通の書留郵便で送ってしまう

 ・相手が休日または夜なら住所地にいることは分かった

  ⇒「休日送達の上申」

    休日や夜などを指定して訴状を送達してもらう

 ・相手の住所に行ったが住んでいない、まったくわからない

  ⇒「公示送達の申立」

    相手に送れないので、裁判所の前に14日間掲示して相手に送ったことに

する

公示送達を認めてもらうための調査

    「裁判所の入り口に見えるようにしてあるのだから、見たということにする」と相手の裁判を受ける権利をなくしてしまう公示送達を認めてもらうためには、「相手に届きっこない」と書記官が納得してくれるくらいの調査が求められます。

     具体的には、最新の住民票をとること、そして実際に現地に行って住所とされている場所に相手が住んでいる気配がないことを確認します。

     たとえば住んでいるはずの場所に家がない、表札が違っている、郵便ポストに広告が溜まっている、電気メーターが動いていない、と言ったことを目で見て写真を撮ります。また、近所のお家で様子を聞いてみます。

     私はこれは苦手な仕事です。

判決の公示送達

   調査をつくして裁判が続行すれば相手は出てこないので、すぐに終結して判決がでます。

   判決も特別送達なので、また届かないのではないか?もう一度公示送達の申立をしなくてはならないのか?

   というとそうではなく、2度目以降の公示送達は書記官が職権でできるので、こちらはなにもしなくても大丈夫です(民事訴訟法第110条第3項)。

   公示送達の状態で確定を待ちます。

   判決が確定すれば執行文もとれますが、なにぶん相手が行方不明では強制執行もかけられませんけどね。

   さて、今日も書面をつくりましょうか。