官庁街の真ん中で生存権を叫ぶ がんばれクスノキ!

たまに石垣の間とか岩の間とかの無理なところから生えている「ど根性植物」がネットやテレビで話題になります。

 私も奥多摩の日の出山の登山道で岩の間から生えている結構太い木を見つけたことがありました。

 何という木かわかりませんが、岩を穿って斜め上に伸びている姿は勇猛で、しばらく見とれてしまったものです。

 このたくましいパワーは人をひきつけてやまない魅力があります。

霞が関のど根性クスノキ

 そんなど根性物件が、霞が関の一角にひっそりとがんばっているのを知りました。

 場所は日比谷公園に面した弁護士会館前の、石畳と歩道の境界に立っているポールのところです。

 ちまっとして雑草にしか見えませんが、発見者によるとクスノキなのだそうです。

 発見者の証言によると、最初にクスノキが生えているのを見つけたのは初夏のころだそうです。

 石畳とポールの隙間から必死に生えている姿がいじらしく、弁護士会館に行くたびにクスノキの成長をみていたそうです。

 ところが、夏のころにはクスノキが姿を消してしまっていたそうです。「雑草」として抜かれてしまったのでしょう。発見者はがっかりしたそうです。

 秋の気配がなかなかやってこなかった9月になって、ふたたびクスノキは芽生え始めたのです。ど根性の粘り腰です。

 発見者は今度こその思いを込めて、彼(彼女か)の生存権を明確に、だけどそっと主張することにしました。

 プラカードによるアジテーションからひと月余りたちますが、クスノキはめきめきと成長を続けています。

 発見者の目には、すでに石畳を押しのけるほど太くなったクスノキの姿がみえているようで、「クスノキ周辺の石畳撤去の折衝」をどうすすめるかのシミュレーションをしているそうです。

 いかにも弁護士らしい発想です。

 これから、裁判所や弁護士会館に行く際には「生存権の確認」という楽しみができました。

 小さなクスノキの小さなアジテーション(10㎝くらい)、探してみてください。

 さて、今日も書面をつくって霞が関へ持って行きましょうか。