利益相反で後見監督人選任はどのタイミングで選任するか
ひととおりの裁判関係書類はつくってきたと自負していますが、経験したことがないものはまだまだあります。後見監督人の選任もそのひとつです。
「後見人と被後見人の利益相反があるような場合は後見監督人を選任する」ということは知識として知ってはいますが、実際にお目にかかったことがないのです。
後見人と被後見人の利益相反
後見の理由に相続手続がありました。
被後見人と後見人候補者がともに法定相続人なので、遺産分割に関しては利益相反してしまうことになります。
利害が対立しているのに、その相手の代理人になってしまったら、相手の利益を無視して自分の利益をぶんどるようなことが起りかねません。それを利益相反と言います。
具体的に言えば、法定相続人全員で話し合ってきめる遺産分割協議を、ひとりで勝手にやってしまうということです。これは平等にはなりません。
法律事務のプロなら、依頼者さんに言われるまでもなく気づけよ、という話です。
恥ずかしいです。
後見監督人をつける、利害関係のない第三者を後見人に選任
考えられる対策は2つです。
1つは後見監督人をつける、もう1つは後見人を全く利害関係のない第三者にする、です。
後見監督人は後見人を選任したら必ずついてくるものではありません。今回のように利害関係が対立している場合にはつけます。
後見人候補者は申立のときに決めておくのが一般的ですが、申立のときに候補者をあげておかなければ家庭裁判所が選任してくれます。
最初から利害関係のない第三者を後見人にすれば、利益相反は生じません。
私は成年後見の申立はやったことがありますが、後見監督人の選任の申立はやったことがありません。
どのタイミングで、どうやって申立てればいいのでしょう。
家庭裁判所に聞いてみた
わからないことは聞いちゃった方が早いので、管轄の家庭裁判所に電話しました。
書記官さんに事情を話して相談した結果、まず後見人の申立をして、あとは家庭裁判所と相談しながら考えるのがよいようです。
こちらが申立てなくても、後見監督人は家庭裁判所の職権でつけることもあります。
また利害関係が生じる遺産分割協議にだけ「特別代理人」を選任するという方法もあります。
当然、後見申立書類のなかでも後見が必要な理由記載欄に「相続手続」という選択肢がありますから、家庭裁判所は事情をくみとってくれるはずです。
書記官さんの話では、後見が開始しても、実際の遺産分割協議はすぐにはできず、最初の事務報告以降になるそうです。
申立てのときにあれこれ先回りして考えなくても、いいのでした。
まずは申立書類の作成をを急ぎましょう。