著作権を遺産目録に記載する
遺産目録に記載する遺産は、だいたい土地建物、預貯金、株式などの有価証券、車というところです。
たまに、値段がつく書画骨董、ゴルフ会員権も入ります。
新たに遺産目録をつくるにしても、かつてつくった遺産目録をコピペすれば用が足ります。
とはいえ、まれに「どう表現すればいいのかわからない!」というものに出くわします。『著作権』もそのひとつでした。
著作権も財産権ですから相続財産になります。
ところが、手持ちの専門書では『著作権』の遺産目録への書き方は載っていませんでした。困った。
かくなる上は、自分で考えるしかありません。
どう特定するか
目録にはその物(ブツ)を特定できるように、たとえば人間なら名前と住所、生年月日などパーソナルな情報をコンパクトに表現します。
しばらく頭をひねってひらめいたのは、行政書士開業前講座で習った「著作権第一登録」です。
自分が作った作品を世に最初に出したのは自分だ、ということを文化庁に登録申請するのが著作権第一登録です。
その申請書類の『著作権の表示』を流用すればいい。出所が官公署である文化庁、まして著作権の管轄官庁だから間違いないはずです。
どう表現するか
「『○○(作品名)』の著作権」と項目を立てて、著作物の題号、著作者の氏名、最初の公表の際に表示された著作者、最初の公表年月日、著作物の種類、著作物の内容または体様(400字程度で作品の内容をまとめる)、という形で目録に書きました。著作権第一登録の書式のまんまです。
この著作は学術書でしたが、「著作物の内容または体様」を書くため、まったく興味がもてない専門書を2週間かかって読みました。きつかったです。
それでも何とかまとめて、遺産目録をつくりました。
著作権の相談員をしている仲間の行政書士にも監修してもらって、自信を持って著作権も遺産目録に載せました。
とても、がんばったと思ったものです。
専門書で発見!
その後、事務所が購入した『遺言書遺産分割協議書等条項例集』(新日本法規出版、東京弁護士会法友会著)に著作権を取得させる場合の表現の仕方が載っているのを見つけました。
その本によれば、著作物の種類、著作物の題号、著作者の3点だけでよいみたいです。
私のひねり出した表現は、書きすぎでした。
当該著作権が特定できれば十分ですから、公表年月日とか内容のダイジェストとかは全く余計な情報でした。
考えてみれば、著作権の第一登録と遺産目録とでは、同じ「特定」でも使用目的が違うのです。そこまで踏まえて…はできませんでした。
まあ、円満に相続手続は完了していましたからいいにします。
さて、今日も工夫を凝らして書面をつくりましょうか。