赤い本の入通院慰謝料別表Ⅰ・Ⅱ傷害慰謝料の計算
交通事故の傷害慰謝料はケガの重さというより治療期間で計算します。ケガをして治療することに時間をとられたことに対する償いのお金と考えます。
赤い本では別表Ⅰ・Ⅱをつかって計算する
赤い本基準では、総治療期間と実治療日数×2の少ない方の日数を使って計算します。
総治療期間=入院期間+通院期間
実治療期間=入院日数+実通院日数
赤い本の「第5 慰謝料」の「2.傷害」に記載のある入通院慰謝料の別表Ⅰ・Ⅱの表をみて計算します。以下、2019年版を参考にしてすすめます。
別表は、骨折などの重いケガではⅠ、むちうちなどでⅡ、というように使い分けをします。
別表は入院期間を横軸に、通院期間を縦軸にとっています。
入院のみ3ケ月で治癒だったら横軸に「3ケ月」をたどり「145万円」となります。通院のみ3ケ月なら縦軸に「3ケ月」をたどり「73万円」です。
入院3ケ月のち通院3ケ月という場合は、横軸の入院3ケ月と縦軸3ケ月の交差する「188万円」となります。
横軸の入院1月は53万円→(48万円アップ)→2月は101万円→(44万円アップ)→3月は145万円(39万円アップ)と日数が増えていくごとに金額の伸びが緩くなっています。縦軸の通院も同様で、治療期間が延びていくほど慰謝料の金額の伸び率は少なっているのです。このように別表には微妙な調整が織り込まれています。単純に「入院1月でいくら」+「通院1月でいくら」では治療期間が長くなった分の調整ができません。
別表でさらに細かく計算する
こちらからの請求金額は1円でも多い額、しかも根拠がしっかりした金額を出したいものです。
別表の横軸と縦軸を交差させて計算すると1月ごとのざっくりとした金額になってしまいます。そこで1日単位でさらに細かく計算します。
例として、入院67日、通院115日、総治療日数182日で別表Ⅰで計算してみましょう。
総治療期間 182日→6月と2日
入院日数 67日→2月と7日
通院実日数 115日→3月と25日
①182日分の通院慰謝料を計算する
6月通院分 7月通院分 6月通院分
1,160,000円+{(1,240,000円-1,160,000円)÷30×2日}
=1,165,333円
②67日分の通院慰謝料を計算する
2月通院分 3月通院分 2月通院分
520,000円+{(730,000円-520,000円)÷30×7日}=569,000円
③67日分の入院慰謝料を計算する
2月入院分 3月入院分 2月入院分
1,010,000円+{(1,450,000円-1,010,000円)÷30×7日}
=1,112,667円
④182日分の通院慰謝料(①)から67日分の通院慰謝料(②)を差引き67日分の入院慰謝料(③)を足す
①1,165,333円―②569,000円+③1,112,667円=1,709,000円
総治療日数182日
入院67日 | 通院115日 |
全日数の通院慰謝料を計算してから、最初の入院した67日分の通院慰謝料を差引いて、入院慰謝料67日分を足します。治療費は後になるにつれて増額割合が小さくなるので、実際の治療の流れに見合った月の数字を使って計算します。
30日で割り切れない日数は次の月への増額割合を30日で割った金額を足しこみます。
この計算でいくと約170万円ですが、別表Ⅰの入院2月・通院4月でみてみると165万円です。
自賠責は1日4200円
自賠責はシンプルです。治療期間1日につき4,200円です。
上の例でいけば、治療期間182日×4,200円=764,000円です。
赤い本基準とはずいぶんと違う額です。
面倒ですが、一度覚えてしまえば大丈夫です。しっかり計算して請求しましょう。