船に仮差押をかける方法

保全です。仮差押です。

 相手に気づかれると財産隠しをされちゃうので、密行性(気づかれないうちに)で速攻が求められます。

 さて対象となる物はなんでしょう。

 …船舶ですか。できると聞いたことはありますが。

大型船舶と小型船舶

 とりあえず民事法研究会の『書式 民事保全の実務』を頼りに調べてみます。

 ひとまとめに「船舶」と言っても、20トン以上か以下かで船舶は2種類にわけられるようです。

 ・20トン以上の船舶を俗に「大型船舶」と言い、所有者には保存登記が義務づけられています(商法第686条、船舶法第5条)。

  登記後、官海(「管轄」じゃないのですね)官庁の船舶原簿に登録し「船舶国籍証明書」の交付を受けます。

 ・20トン未満は俗に「小型船舶」と言い、登記などが義務付けられていません(商法第686条、船舶法第5条)。

保全の方法

 民事保全法第48条によると、①仮差押の登記をする方法、②船舶国籍証明書を取り上げる方法の2種類の保全方法があり、併用も可能だそうです。

 そうすると、登記義務がなく船舶国籍証明書の交付もされない20トン以下の小型船舶についてはどうすればいいのでしょうか。

 民事執行法の船舶執行の方法(第112条)も対象は「総トン数20トン以上」と書かれています。

民事保全も民事執行も20トン以下の小型船舶の場合は、自動車と同じ扱いになっています。

民事保全規則第39条で準用する第35条によれば、①仮差押の登録をする方法、②執行官による船舶の取り上げ、両者は併用もできるそうです。(民事執行については民事執行規則第98条の2参照)。

なんとなくわかってきました。

自動車の仮差押えなら探せば書式例もありそうなので、それを参考にすればなんとかなりそうです。

でも、総トン数20キロ以上だったら…困るなあ。

いま、弁護士から依頼者に対象の船舶のトン数を確認してもらっているところです。20トン以下だといいなあ。

何年やっても見たことない手続に出くわします。余裕かませません。

でも、今日も書面をつくりましょうか。