定時株主総会もマンションの管理組合集会も延期して差し支えありません

 久しぶりに債務整理の仕事をしています。平成10年代はしょっちゅう破産や債務整理の仕事をしていたものでしたが、過払い金バブルも崩壊したようで、ここ数年はったにお目にかかりませんでした。
 まずは、債権者会社に弁護士の介入通知を送って債権届出を促します。数社あてに郵送し、1週間以内には大体の債権者からの回答が出そろいましたが、遅れて発送した1社だけが3月中旬になっても返事がありませんでした。心配になり、電話で問い合わせしました。

 すると、債権者のいうには「新型コロナウイルスの影響で、弊社では在宅勤務が増えている。そのため債権届出は2~3か月はかかる」とのことでした。こんなところで、影響が出ようとは思ってもみませんでした。こちらの作業も、大きくブレーキがかかってしまいました。

感染防止のための延期措置
 政府は感染防止のために、大規模イベントの自粛を要請しています。たどることができた感染ルートをみると、換気の悪いところで大勢が集まることが原因である例が多くみられます。

 法務省も、さまざまなシチュエーションを考えて見解を示しています。

 定時株主総会の開催について
 会社法296条1項で「提起が株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」のであって決算後必ず3カ月後でなくてもよいことを明記しています。ただ、議決権や剰余金配当の基準日を変更する場合は、公告が必要と注意喚起もされています。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00021.html

マンションの管理組合等の集会の開催について
 区分所有法43条では「管理者は、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」とありますが、前回の開催から必ずしも1年以内に開催しなくてよいことを明記しています。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00024.html

 今回の感染症は天災のようなものだから、ムリに今開催しなくても落ち着いてからでも大丈夫、と法務省が自ら見解を示してくれました。

相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ
 大規模集会も自粛とは違いますが、今回の混乱で相続手続きどころではないという人のために、相続放棄の熟慮期間延長の利用案内も示されています。もとからある制度で、ちょっと関係ない気もしますが、非日常な状態になってしまって、手が回らない方には役に立つ情報かもしれません。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00025.html

 厚生労働省も経済産業省も外務省もがんばっているから、法務省も自分の持ち場でせっせと仕事をしてくれているのですね。

 さて、私も自分の仕事、書面づくりでもしましょうか。コロナの騒ぎ、早くの終息を望みます。