9年前の買物日記 空っぽの陳列棚が埋まるまでの10日間

 しくじりました。トイレットペーパーがきれそうで、新しいのを買おうと思っていた矢先にこの騒動です。2月27日ころから始まって、5日までの時点で都心の事務所付近でも、住まいの近くでも、まったくトイレットペーパーが商品陳列棚にありません。

 ほうぼう探し回り、ようやく見つけた水に流せるポケットティッシュ20パックを買って当座をしのぐ今日この頃です。
 このすっからかんの商品陳列棚をみていて、9年前を思い出しました。あのときも、トイレットペーパーが消えたのでした。

9年前の日記を掘り出す
 メモ魔の私は、9年前の2011年3月11日からの10日間、目にしたものを書き残しておきました。
 そのメモによると、あの震災の当時、買いだめ騒ぎが起こったのは週明けの3月14日月曜日、東京電力が突然「計画停電」を発表したころから始まったようです。

 安定した電力供給が保てないので、首都圏の鉄道は運休や間引き運転、製造中に電力供給が停止してしまうと困る食品工場は停止、一部のショッピングモールは慌てて休業、原発は水蒸気爆発、と不安と大混乱が始まりました。

 この日、近所の駅ビルやホームセンターは休業を決め、大型スーパーは照明を落とした状態で食品売場だけの営業という非日常感が、さらに不安を深めました。

 度重なる余震、緊急地震速報、テレビから流れる惨状、節電による薄暗い街、妙になつく猫、ものすごい緊張状態の日々がはじまりました。

 3月15日、2件スーパーを回ったけれど、「米とパンと牛乳がない。いろいろのコンビニをのぞいたけどそれらはやっぱりない」とメモにありました。
 インスタント麺の棚も空っぽだったり、普段買物をしないお父さんたちが携帯で家族と連絡を取りながら、欠品だらけの商品棚から残った商品を買っていた姿を覚えています。自分も含め、みんな不安でイラついていたと思います。

 3月16日に「トイレットペーパーの買い占めをみると、つい自分もと思ってしまった」と書いてありました。
 特に不足する理由もないのに、トイレットペーパーにもパニック買いが及んでいたのでした。

 3月17日には「ホームセンターでトイレットペーパーを売っているのを見て飛びつきそうになった」とあります。この近所のホームセンターでは、すぐに欠品したトイレットペーパーの補充はなされたようです。
 今回のようなデマなどではない単なるパニック買いだけだったので、回復は早かったのでしょう。

 3月18日には、私は家電量販店などで普通に買い物ができていたようです。乾電池が売り切れになるのをみました。
 計画停電が続いていたので、必要な人も不安な人もいっぱい買ったのでしょう。ただ、エネループなどの充電式乾電池はしっかり売っていたようです。

3月19日は土曜日なのでほうぼう歩いて、近所の2件のドラッグストアをのぞいてみました。「トイレットペーパー、ミネラルウォーター、子供の紙おむつ、生理用品、カップ麺が見当たらない」とあります。
 次に立ち寄ったスーパーでは「卵、パン、納豆がない。パンがない。米がない。あと納豆もない」という状態だったようです。

 別のスーパーでは「欠品は多いが、カップ麺は少しあった。トイレットペーパーもあった」と書いてあります。
 スーパーにより商品の充実さにばらつきがありましたが、肉・野菜などの食材は十分揃っていたのは覚えています。

 この時期は、立ち寄ったコンビニにはパンが売っていたりと、お店によってかなり品揃えにばらつきがあったようです。
 ホームセンターでは「防災系の商品欠品。どこに行っても電池がない」とありました。

 3月21日に立ち寄ったスーパーで、「納豆、豆腐、卵、牛乳などが見当たらないけど菓子パンを久しぶりに見る」とありました。

 3月23日のスーパーでの買い物時には、「久しぶりに米を見た。袋に印刷もない慌ててつくったという感じ。牛乳はまだ入手できないが低脂肪乳の1ℓのものはあった。少しずつ回復してきている。パンも出てきたし、カップ麺はほぼ出揃い、トイレットペーパー、生理用品はしっかりある。一山越えたみたい。100円ショップでは単三乾電池があった。すごいファイトだと思う。いずれにしても、スーパーは肉も魚も野菜も遜色なし。ただ納豆はない。豆腐は戻ってきた。卵は全くない」とあります。

 まだ一部商品や2㎏の小袋の米や500㏄の牛乳などの小家族向けの商品は製造していない状態でしたが、この時点で、欠品の不安は感じなくなっていたようです。

 私が当時住んでいた郊外の町では、3月14日からはじまったパニック買いは、10日ほどでおさまったようです。あの当時は毎日不安で、この世の終わりかと思いましたが、10日もすれば日常必需品は手に入る生活が回復したのでした。
 そうすると、来週初めにはトイレットペーパーを入手できる、かもしれません。
 ちなみに経済産業省のHPによると、ひとり7日で1ロール使うそうなので、今後は最低でもストックは最低3ロールをきったら補充するよう心がけます。
 震災から9年、ローリングストックが甘くなっていたことを痛感するできごとでした。


 今回の騒動も、未来の私のためにメモしておきましょうか。気づけば春です。とりあえず、お花でも眺めて心を落ち着けて。