(花粉と法改正のない)春よ来い2

引き続き、民法改正の条文を眺めています。債権法改正であるけれど、対応する総則部分もちょいちょい変わっていて要注意です。代理の条文もあちこち変わっています。

 復代理人の条文がごそっと削除されているし、双方代理や表見代理も条文がマシマシされています。

第108条 自己契約及び」双方代理

 「双方代理は無権代理」ということはこれまで判例でそうなっていましたが、条文も「当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす」と変わりました。第2項が新設され利益相反行為は無権代理と明記されています。
 親子の利益相反行為と同じで、ぐっとわかりやすくなりました。

表見代理の条文が増えた(第109条~112条)

 第109条の代理権授与の表示による表見代理等
  代理権の授与を表示した者は、代理権の範囲内で代理人がした行為の責任を負います。今回第2項が付け足されて、代理権の範囲外の行為については相手方が「代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り責任を負う」と判例に寄せています。

 第112条 代理権消滅後の表見代理等
 「代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない」
           ⇩
  「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅を知らなかった第三者にその責任を負う」

 言っていることは同じですが、言葉が足されて少しわかりやすくなった…ようです。長くなりましたけれども。この条文も第2項で権限外行為については代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り保護される旨の規定があります。

 双方代理や表見代理については、条文自体は変更がありましたが、これまで判例でされてきた解釈は変わらないみたいです。ちょっとほっとしました。

 こうやって少しずつ条文をみていって、わからない不安をやわらげながら仕事をすすめていきましょうか。道のりは遠し。


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