妖怪の人権への先生の答えで法律に興味をもった

「妖怪に人権はあるのでしょうか?」

と問うた私に、村上先生はさらりと、

「戸籍があれば人権はある」

とお答えになりました。

 またあるとき、村上先生は授業中騒いでいる男子に、

「他の人の勉強をする権利を奪ってはならない」

と注意されたことがありました。

 村上先生は、私の中学校の社会科担当の先生で、司書教諭でもあった方です。図書委員だった私は、とてもお世話になりました。

 法律って面白いかも

 中学生だった私は、この村上先生の物言いがとても面白いと感じました。一定のルールに従って物事を切り分けていくことで、世界が明瞭に理解できるように思えたのです。

 確かに日本加除出版の『改訂 体系・戸籍用語事典』26ページには、「戸籍には日本国民が登録されるから、逆に戸籍に登載されている者は日本国民であるということになる」とあります。

 その後、法律科の短大に進み、現在は仕事のツールとして六法をパラパラやっていることを思うと、村上先生は私にとって非常に大きな影響を与えた人だったということになります。今はどうしておられるのか存じませんが、お元気でおられることを願ってやみません。

 歴史の授業で、海軍の見習士官だった村上先生が、どの項目よりも時間を費やしたのは、日露戦争の日本海海戦の「敵前回頭」だったこともよく覚えています。

 妖怪が「人が生まれながらに持つ権利」の享有主体となれるのか

 同じ質問を、弁護士両名にぶつけてみました。

 「何言ってるの?たとえ戸籍があったって人じゃないんだから、人権は認められないよ。アザラシのたまちゃんやドラえもんは住民票をもらえたけど、戸籍にのったら人間になるの?妖怪は文化的には日本人かもしれないけど、法的日本人にはなれないよ。そもそも妖怪の定義が…」

  うう、ぐうの音の出ません。確かにそうです。

  憲法第10条では「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」とあります。法の適用法や民法では対象は「人」と明記されていますが、憲法第10条での「法律」にあたる国籍法では対象が明記されていません。だったら妖怪も含まれるのではないか、とさらに弁護士にぶつけてみたら、

 「明記されていなくても、当然解釈で対象は人。もう少し勉強してステップアップしなさい」

 と一蹴されました。

  「そういえば、ゲゲゲの鬼太郎は妖怪と人間のハーフだよね」

※誤りです。鬼太郎の父も母も妖怪族です。人間と妖怪のハーフの「半妖怪」は
ねずみ男と猫娘です。

  新しい論点です。

 「国籍法第2条第1項1号で日本人の母から生まれた子は日本国民です。だったら、鬼太郎は日本国民ではないでしょうか?」

  「法は父と母が両方人間であることを想定しているでしょう」

   やっぱり、だめか。

 現在放送中のゲゲゲの鬼太郎はわりとストーリーが重めで好きです。ただ、ちびっこがついてこれるか心配です。そういえば、かつてのウルトラマンシリーズも重いテーマの回がありましたよね。