戸籍の申請者の資格を明らかにする

以前、弁護士が遺言執行者に指定されていた公正証書遺言による相続手続のため戸籍の申請をしたときのことです。

 遺言執行者の立場での戸籍の収集なので、日弁連のピンクの用紙(C用紙)をつかい、郵送で申請しました。

 そうしたら、役所の担当者さんから電話が入り、「公正証書の遺言書の写しを提出してほしい」と言われました。

 なぜ、役所が遺言書コピーを欲しがるのでしょう。

役所が遺言書で確認したかったこと

 しかしながら、遺言書はプライバシーのかたまりです。早々第三者にコピーを手渡せるものではありません。

 「そんなもの出せるか」

 と言いたくなりましたが、役所の担当者さんと丁寧に話をしたら求めているものがわかりました。

 役所の担当者さんは、遺言執行者選任の事実を確認したかったのです。言い方を替えればどういった資格で戸籍の申請をしているのかを明らかにしたかったのです。

 当たり前のことですが、別に遺言書の中身を見たかったわけでないのです。

成年後見人として事務をする場合に選任書のコピーを添付することに準拠して考えればしっくりくる話です。

結局、役所の担当者と話し合って、以下の項目を明記したメモを差し入れることになりました。

亡○○○○氏公正証書(遺言書)の表示

    番号:平成00年第1111号

    作成日:平成00年11月11日

    公証人:□□□□(東京法務局所属 銀座公証役場)

 役所の担当者さんとは、かなり長く電話で話をしました。

 最初は「遺言書のコピーを出せなんてふざけている」といらいらしながら話をしていた私でしたが、次第に相手の求めていたことが理解できるようになり、納得しました。

 相手からも、求めていたことが伝わったほっとした気持ちが電話から伝わってきました。

 お互い時間をかけた分、すっきりと仕事ができたと思います。

 このことをきっかけに、役所の担当者が何を求めているかを考えるという視点を持てるようになりました。

さて、今日も書面をつくりましょうか。