失われた戸籍いろいろ
相続などで戸籍をたどっていくと、たまに入手できない戸籍に出くわします。
古い戸籍はさまざまな事情で失われていることがあるのです。
戦災などでオリジナルが焼失した
戸籍事務は本来は法務局の仕事です。
ただ国民の利便性のために、市区町村が手続や交付を受託しているのです。
ということで戸籍データのオリジナルは法務局にあり、担当の市区町村ももっているという形で利用されています。
その両方が焼失してしまって残っていないから出せない、ということがまれにあるのです。
私は東京なので他の地域の事情はわかりませんが、東京の場合は関東大震災と太平洋戦争の空襲で焼失した、というものに出会うことがあります。
「庁舎焼失のため」ということもありました。
その場合は「告知書」というものを出してもらいます。
戸籍が焼失してしまい手に入らないことの証明書です。
告知書を交付してもらうには、その前の戸籍あるいはその後の戸籍を提示します。
その戸籍の「~から転籍」「~に転籍により除籍」の記載で、失われてしまった戸籍の存在を確認してもらうのです。
廃棄されてしまった
現在の戸籍法施行規則によれば、閉じた戸籍の保存期間は150年です(戸籍法施行規則第10条の2第2項)。
平成22年に規則が改正されて150年になりましたが、それ以前は80年でした。
80年を経過した戸籍の保存は市区町村によって異なりました。
80年以上経過した戸籍でも保存されていたり、きっちり廃棄されていたりです。
廃棄されてしまっていたら、告知書をもらって、無い戸籍の穴を埋めます。
戦前の土地の戸籍⇒樺太・北方四島
旧樺太の戸籍は6村だけが持ち帰られ、外務省に保管されているそうです。
外務省のHPで保管されているなかに申請の対象先が入っているのか確認し、申請手続をとることになります。
外務省HP 旧樺太の戸籍関する証明書
北方領土の戸籍については釧路地方法務局根室支局でその一部が保管されているそうです。
申請書などが普通の書式と異なるようですから、事前の確認が必要です。
釧路地方法務局根室支局HP 北方領土の戸籍などに関する証明について
これらのケースで私が経験したものは震災・戦災による「告知書」、廃棄したことによる「告知書」くらいです。
一度、北方領土の戸籍をとるかも、ということがあったので調べましたが、そのときは戸籍の申請には至りませんでした。
では、今日も書面をつくりましょうか。