人身事故の賠償額は赤い本基準でがんばります
交通事故の被害の損害賠償をする場合は、過去の交通事故裁判の結果を凝縮した「赤い本」を算定根拠とします。過去の裁判事例を参考にして賠償額を計算するのは妥当なやり方です。
人身事故の被害の損害賠償は、算定の根拠が赤い本だけでなく、自賠責基準、保険会社基準が存在がするので複雑です。
自賠責基準
自動車保険は強制加入の自賠責保険と任意加入の保険と2種類あります。自賠責は加入が義務付けられており、もし自賠責に未加入状態で運転すると1年以下の懲役または50万以下の罰金の罰則と違反点数6点で一発免停です。自賠責は事故がおこったときに人身事故の被害者の補償をするために必要だから厳しくなっているのです。
自賠責では事故によるケガだと認められれば必ず決まった金額が支給されます。ただその金額は赤い本基準と比べると全般的には低い金額になりますから、自賠責で賄いきれなかった損害額を任意保険会社に請求することになります。
保険会社は自賠責の支給額内でおさめたい
任意保険会社としてはできれば自分の会社から払いたくないのは正直なところだと思います。いろいろ理由をつけて自賠責で支払われる範囲内の金額でまとめようとする提案をすることが多くみられます。「当社の基準」で、というのがその決まり文句です。
「当社の基準」とはなにか明らかにしてほしい、といっても「当社の基準」はクリアにされることはありません。交通事故損害賠償業務でよくいわれているのは、「保険会社のいう当社基準は赤い本基準と自賠責基準の間くらいの額」だろうということです。
任意保険会社との交渉は、いかに赤い本基準に沿って自賠責の支給額以上の賠償金を認めさせるか、ということに尽きます。まずはこちら側は赤い本基準を理解していること、「当社基準」でつっぱられても納得しないことを任意保険会社の担当者にわからせることが交渉の第一歩となります。
さて、人身事故の損害計算です。ケガの治療に関する傷害部分と治療しても残ってしまった痛みなどの後遺障害部分とにわけて計算していきます。