遺言書 目次

遺言書でできること
(1)法定相続人でない人に遺産を遺すことができる
(2)法定相続人の中で相続割合を変えられる
(3)認知
(4)廃除
(5)負担付遺贈
(6)特別受益の持ち戻しの免除

遺言書の種類と作成方法
(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言

遺言書全般の注意点
(1)共同遺言の禁止
(2)遺言書の撤回
(3)15歳以上なら遺言可能
(4)受贈者(遺言書により遺産を受取る人)が遺言者(遺言で財産を譲る人)より先に亡くなったら無効
(5)あいまいな表現はさける
(6)遺言書の在りかを示しておく
(7)遺言で分割方法が定められていない財産は法定相続される

遺留分
(1)遺留分減殺請求権
(2)遺留分の放棄

遺言書について

ここでは代表的なことについてふれます。全ての注意点を
網羅してはおりませんので実際に自筆証書遺言をご自分で
作成される場合は当職含め専門家にご相談下さい。
 
遺言書は、自分の財産の処分の方法を自分で
決めて文書に残すことです。
もちろん、それだけでなく自分の家族や親しい人に感謝の気持ち、
大切な存在であることを伝えることもできます。

 
そして、遺言による財産処分方法の指定は、推定相続人全員の意思(=遺産分割協議)より優先されます。遺言書は作成方法の違う3種類のパターンがあります。公正証書遺言秘密証書遺言及び自筆証書遺言というものです。公正証書遺言と秘密証書遺言は公証役場で作成してもらうもので、自筆証書遺言はその名のとおり自分で手書きするもので、紙とペンと印鑑さえあれば、すぐできます。それぞれの形式でメリット・デメリットもあるので、どの方法がよいかは検討が必要です。
 
また、財産処分の手続を指定するのであれば、その財産処分手続を実行する遺言執行者も遺言書の中で選任しておいた方がよいでしょう。

遺言書でできること

(1)法定相続人でない人に遺産を遺すことができる
誰よりも自分の世話を献身的にしてくれた知人や、
長年連れ添った事実婚のパートナーなど身内同然の人たちは、
自分の気持ちとしてはとても近しい人たちですが、
法律上は相続人ではありません。
 
法律では、自分が死亡したら、法律上相続人と
定められている人(法定相続人)が当然に自分の財産を全て
相続するものとされていますから、
法律上相続人ではない人たちに自分の財産を受取って
もらいたいと思うのであれば、
 

この人に遺産を遺すときちんと自分の気持ちを示した文書を作っておかないと、遺産を遺すことはできません。
 

法律では、原則は法定相続人が相続、でも遺言書があれば、遺言書の指定した相続方法が優先、というルールになっています。実際上はずっと夫婦として仲良く暮らしてきた人でも、結婚をしているかどうかで、相続では明らかな違いが生じるのです。籍を入れて「配偶者」になれば、第一順位の法定相続人ですが、籍が入っていない、内縁の状態だと相続人ではないのです。
 
いくら生前周囲の人に、例えば「内縁の妻に自分の財産はすべて遺すつもり」と口で言っていて、周囲の人も親族もそのことを知っていたとしても、文書にしておかないと法律上の効果はないので、法定相続人が相続財産を受取り、内縁の奥さんは相続財産をもらえない、ということになります。
 
もっとも、内縁の奥さんでも、もし被相続人(死亡した人)が財産はあるがそれを相続する法定相続人が1人もおらず、家庭裁判所に「特別縁故者」者【民法第958条の3】*1と認定されれば、その財産を受取ることができる場合もあります。

(2)法定相続人の中で相続割合【民法第902条】*2を変えられる

原則として、同じ順位、同じ地位の法定相続人の相続財産を受取る権利の割合は、法律上は平等です。相続人が子供2人なら、その子供は同じ割合の相続分を受けます(相続割合については「法定相続分」のページをご覧下さい)。
しかし、遺産を遺す側としては、自分を献身的に面倒を看てくれた子供に多く遺産をやりたいとか、将来が不安な要素がある子供に他の子供より多く財産を持たせておきたい、など様々な事情がおありでしょう。そのような場合に、遺言書で法定相続分と異なった「相続分の指定」をすることもできます。
 
もし、あなたが法律上の相続分と違う割合で子供達に遺産を分けたいという気持ちがあるなら遺言書で書いておかないと、ずっと同居して自分によくしてくれた子供も、家を出て何の音沙汰もないままの子供も、当然に等しい割合(法定相続分どおり)の相続手続となってしまい、平等に相続持分をもつことになります。

(3)認知【民法第783条】*3(※認知については「法定相続分」のページをご覧下さい)

認知も遺言書によってすることにできます。
結婚していない男女から生まれた子は母の戸籍に入り、戸籍からは父とその子は法律上のつながりがよみとれないので、法律上、父とその子は親子関係がないものと扱われます。当然父が死亡しても、その子は相続人にはなれません。
 
認知をすることで、はじめて戸籍に父と子のつながりが載り、その子は「非嫡出子」という地位で、父の法定相続人となるのです。

(4)廃除(※廃除については「法定相続分」のページをご覧下さい)

廃除の申立は遺言でもできます。この場合も、遺言執行者(遺言をした内容を実行してくれる人)が遺言をした人の代わりに家庭裁判所に廃除の申立をすることになるので、その手続をしてもらう遺言執行者も一緒に選んで指名しておく必要があります。

(5)負担付遺贈【民法第1002条】*4

自分の死後、誰かにやってもらいたいことがあり、そのお礼に自分の遺産を受取ってもらう、という形の遺言書です。
 
もし、受贈者(遺言により財産を受取る人)が遺産を受取るだけ受取って、義務(やってもらいたいと遺言でお願いしたこと)を果たしてくれない時は、法定相続人は、まず①「遺産を受取ったのだから、やるべきことはやりなさい」と受贈者(遺言により財産を受取る人)に言って、それでもやるべきことをやらない時は、②家庭裁判所にその遺言の取消を請求できます。

 
実は、私もこの負担付遺贈の遺言書を書きました。
 
私は独り身で猫2頭を飼っていますので、
私に何かあったときのために、
「私の愛する猫達を引き取ってくれる人に、
猫達の余生を看るに必要なお金を私の貯金から
渡して欲しい、それで貯金に余りが出たら
私の法定相続人(私は子供もいない独り身だから親)
に渡す、そして遺言執行者(そのための手続をする人)を
私の友人の司法書士と指定する」という内容です。

sarara

 
私の猫好きの友人は、ありがたいことに「あなたに何かあったら、私が猫達の面倒をみるよ」と言ってくれていますし、私の法定相続人である身内にも相続問題でもめる要素はありません。

それでも、私はきちんと書面にしておくことが必要だと考えました。
書面にしておかないと、口で言っただけのことは、どこかで、言った、言わないの不毛なもめ事の火種になる危険性があるように私は思うのです。私は、私の周囲の人達に、わずかでも私のことでもめる危険性があるなら、取り除いておきたい。
 
当たり前のことですが、私が死亡した時、私は何の意見も言えないのです。

(6)特別受益の持ち戻しの免除

特別受益の持ち戻しについては「相続手続・遺産分割」をご覧ください。

*1 民法第958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)
 前条の場合(相続人不存在の相続財産の処分手続)において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

②前項の請求は、第958条の期間(処分手続にかかる期間)の満了後三箇月以内にしなければならない。

 

*2 民法第902条(相続分の指定)
 被相続人は、前二条(法定相続分)の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。但し、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。                               

②被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

 

*3 民法第783条(認知の方式)
 認知は、戸籍法の定めるところにより届出ることによってする。                     

②認知は、遺言によってもすることができる。

 

*4 民法第1002条(負担付遺贈)
 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。                                               

②受贈者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受贈者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 

 

遺言書の種類と作成方法

(1)自筆証書遺言【民法第968条】*5

文字どおり、自分の手で書く遺言書です。
自筆証書遺言の作成ルールは以下のとおりで、この法律の規定どおりに書いたものでないと、役に立たない遺言書となってしまいます。法律上有効かどうかあやしい遺言書は、裁判でその有効性が争われたりすることになり、かえってもめ事の火種となりかねません。せっかく書くのであれば、しっかり遺言として効力が発生する遺言書を作成しなければなりません。
 
ワープロ、複写不可。全文あくまでも手書き
 
字を間違えたら、訂正印を押してわかるように訂正する
加除訂正を加えた個所に捺印、そして欄外に「○行目○字訂正」と書く。
*間違えたら、いっそ書き直した方が安全です。
 
ページをまたいだら、ホッチキスで綴じて、またいだページに割印する
 
作成年月日を必ず書く
*過去の判例で「3月吉日」で遺言書の効力を認められない、というのもありました。
 ともかく大事なところなので、正確に記載しましょう。
 
印鑑をおす
基本的には名前の後ろに押す。
(遺言書の書面のどこかに押してあればよいのですが、やはり名前の後ろが一般的です)
実印でなくてもかまいませんが、やはり大切な書類なので実印の方がよいです。
指印でも大丈夫です。
 
自分の名前を書く(署名する)
もちろんフルネームですが、個人として特定が可能であるなら氏又は名だけでも可。
通称名や芸名を一緒に書いてもよいという判例があります。
 
遺産目録をつくる
必ず作らなければいけないものではありませんが、本人以外の人が被相続人がどれだけ遺産を持っているのかを調べ上げるのは大変な作業ですから、ご自身の財産を特定できるデータをリストにして遺言書に書いておきます。
 
よく相続となると、「死んだオヤジは田舎に土地を持っていると言っていたが、具体的にはわからない」というような話が子供さんからでてくることがあります。そのようなざっくりとした話では、その「田舎の土地」の特定は難しいですし、特定できたとしても、本当にお父上がその土地の現在の持ち主であるとは限りません。せっかく遺言書を作成するなら、財産を受取った人を悩ませないように、わかりやすく具体的に書きましょう。また、遺言書の用紙には特に指定はありません。保存に耐えて、複写式でないものなら使えます。私が実際に目にした遺言書で、くたくたのスーパーのチラシの裏側に書かれていたものもありましたが、ちゃんと有効な自筆証書の遺言書として認められました。遺言書は、やはり、大事なことが書かれている書面ですし、長く保存するものですから、相続人が見つけたときに遺言書とわかるものにしておくべきです。
 
自筆証書遺言で注意しなければならないことが2つあります。
 
注意点1
1つはこれまでみてきたとおり、法律のルールに従ったものでないと有効な遺言書とは認められない、ということです。法律上のルールに対してグレーな遺言書は、むしろ争いのモトになりかねず、現に最高裁判所で「この自筆証書遺言が実際有効な遺言書なのか」について争われた裁判例はたくさんあります。
 
なにしろ遺言をした本人に話をきくことができませんから、その遺言書が有効か否かによって、財産がもらえたり又はもらえなくったりする相続人や受遺者(遺言書で財産を受取る人)としては、どうしても裁判で争うことになってしまうのです。
 
注意点2
もう1つは、自筆証書遺言を見つけた相続人は、家庭裁判所に「遺言書検認手続」【民法第1004条】*6をしなくてはならないということです。
 
遺言書検認の手続は、申立てた後、家庭裁判所が指定した日に相続人全員が集まって、その自筆証書遺言の遺言書が、遺言書であることを確認するだけです。封印のある遺言書なら、この手続まで開封してはいけません。この遺言書検認の手続は、遺言書の内容についてはノータッチで、ただ検認(確認)するだけなので、もしその遺言書が、真実、本人が作成したのか遺言書なのか疑わしいときは、別に裁判所に「遺言書真否確認請求」の裁判を起こすことになります。
 
このように、特に何があるわけでもないような検認手続ですが、これをしないと自筆証書遺言による相続手続は進みません。それをしないまま相続手続を進めていくと、どこかで必ず「遺言書検認の手続を踏んで下さい」と言われます。

  

(2)公正証書遺言

公証役場で公証人とともに作成します。公証役場で作成された遺言書は原本を必ず公証役場で保管してもらえますし、平成元年からは日本公証人連合会がデータベースを作成しており、相続人等利害関係人が照会すれば、公正証書遺言を作成した役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日が確認できます。
 
公証人が作成に関与するので自筆証書遺言と違い確実に有効な遺言書を作成することができますし、公正証書遺言は自筆証書遺言ではマストだった遺言書検認の手続が不要です。安全確実な方法と言えますが、デメリットとしては費用が掛かることが挙げられます。
 
対象となる財産の額と受贈者の数により費用が決まるのですが、大体財産額1億円以下であればヒトケタ万円で十分収まる範囲です。公証人はお願いすれば病院などにも出張してきてくれますが、別途費用がかかります。詳しくは日本公証人連合会のHPを確認してみて下さい。

(3)秘密証書遺言

これも公証人が関与する手続になります。
自分で書いた遺言書を自分で封印して公証人のところに持って行って、確かに遺言者が作成したことを証明してもらいます。この手続で公証人にかかる費用は一律11,000円です。ただ、この形式の遺言書は、家庭裁判所の遺言書検認の手続が必要です。

遺言書全般の注意点

(1)共同遺言の禁止【民法第975条】*7

1人につき1通ずつ作成します。

 
(2)遺言書の撤回【民法第1022条】*8

一度書いた遺言書も、実際に遺言した人が亡くなる前なら、遺言書によっても撤回(取消し)できます。
 
つまり、いったん遺言書を書いて、その後に「この間書いた遺言書はなかったことにします」という遺言書を書いて、最初の遺言書を取り消すやり方です。
自筆証書遺言と公正証書遺言や秘密証書遺言に優劣はありません。なんとなく公証役場で作った遺言書の方が威力があるような感じもしますが、そうではなく、どの形式の遺言書でも、日付が新しいものが有効な遺言書で、公正証書遺言を自筆証書遺言で取り消すことができるのです。

  
また、はっきりと撤回(取消し)した、という訳でなくでも、撤回したことになる行為があります。
 

抵触する(同じ内容がカブる)遺言書
遺言書は日付が新しいものが古いものに優先します。
 
「A土地を長男一郎に相続させる」という内容の遺言書
(平成11年1月1日作成)
 
「A土地を友人二子に遺贈(遺言によって贈与)する」という内容の遺言書
(平成20年1月1日作成)
       
このように内容がカブって、もらう人が違う2通の遺言書があった場合、より日付の新
しい友人の二子さんあての遺言書があることで、前の日付の長男一郎さんへの遺言書は取消されたことになり、この場合は友人の二子さんにA土地は遺贈(遺言によって贈与)されることになります。
 
違う事例で、
 
「A土地とB土地の両方を長男一郎に相続させる」という内容の遺言書
(平成2年2月2日作成)
 
「A土地を友人二子に遺贈(遺言によって贈与)する」という内容の遺言書
(平成20年1月1日作成)
      
というふうに、一部分だけ内容がカブっている2通の遺言書があった場合は、カブっ
ている「A土地は長男一郎に相続させる」という部分が、より日付の新しい「A土地は
友人二子に遺贈する」という遺言書によって撤回(取消し)したことになり、結論は
 
・A土地は友人の二子さんが受取る 
・B土地は長男の一郎さんが受取る
 
ということになります。
      
遺言者がワザと遺言書を破棄した
全部を破棄したら全面的にその遺言書は撤回(取消し)したことになり、一部だけ破棄したのであれば残った部分のみの遺言書となります。
あくまでもワザと破棄しちゃった場合で、うっかり破棄した場合は撤回したことにはなりません。
 
撤回の撤回でも元には戻らない
遺言書を遺言書で取消して、その後その取消しの遺言書を更に遺言書で取消しをしても、
最初の遺言書の内容は復活はしません。新しく作り直しです。

(3)15歳以上なら遺言可能【民法第961条】*9

未成年者は法律行為を単独ですることはできません。遺言書を作成するのも法律行為の一種です。しかし、いくつか例外があり、その1つが遺言ができることです。他には認知も、未成年者が1人でできます。

(4)受贈者(遺言書により遺産を受取る人)が遺言者(遺言で財産を譲る人)より先に亡くなったら無効【民法第994条】*10

遺言で「財産を遺贈する」と指定された人が、遺言をした人より先に亡くなった場合は、その遺言は使えないことになります。
 
もし、私が、「A土地を友人の二子に遺贈する」という遺言書を作っても、私より先に友人の二子さんが亡くなったら、受取る人がいなくなってしまうので、私の書いた遺言書は意味がありません。
例え、二子さんに子供などの法定相続人がいても、二子さんの代わりに私の遺言によるA土地の受取人にはなれません。受贈者(遺言書により遺産を受取る人)としての地位は、相続されないのです。
そのような場合も想定した「A土地は友人の二子に遺贈する。でも私が死亡する前に二子が死亡したら、友人の三子に遺贈する」というような予備的(もしものパターン)記載のある遺言もできます。

(5)あいまいな表現はさける

「A土地は長男に管理させる」「A土地は長男にまかせる」など、所有権を与えているのか、単に土地のメンテナンスということで管理をさせるのか、読み方次第でどうともとれる遺言書の文面は、もめる元になりかねません。

(6)遺言書の在りかを示しておく

遺言書をしたためておいたのに、相続人や関係者がその遺言書の存在に気付かないまま、遺言書は存在しないものとして相続手続がなされてしまう、ということは避けたいものです。
 
遺言書が存在しないということで遺産分割の話し合いや、実際の相続手続が済んでしまった後に遺言書がでてくるとややこしいことになります。というのは、遺言書が存在する以上、すでに相続手続が完了してしまっていても、遺言書にある遺言者の意思が優先されることになるからです。

(7)遺言で分割方法が定められていない財産は法定相続される

遺言書に全ての財産についてではなく、一部の財産についてしか分割方法に指定がない時は、指定されていない部分は法定相続人が法定相続します。

*5 民法第968条(自筆証書遺言)
 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 

②自筆証書中の加除その他 の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

 

*6 民法第1004条(遺言書の検認)
 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も同様とする。                                                

②前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。

③封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又は代理人の立会いがなければ、開封することができない。

 

*7 民法第975条(共同遺言の禁止)
 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

 

*8民法第1022条(遺言の撤回)
 遺言書は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

 

*9 民法第961条(遺言能力)
 十五歳に達した者は、遺言をすることはできる。

 

*10 民法第994条(受贈者の死亡による遺贈の失効)
 遺贈は、遺言者の死亡以前に受贈者が死亡したときは、その効力を生じない。         

②停止条件付きの遺贈については、受贈者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 

遺留分【民法第1028条】*11

(1)遺留分減殺請求権
遺言者の財産は遺言者のものだったのですから、
遺言書のある限り遺言者の意思に従ってわけられるのが一番です。
しかし、それでは法定相続人でない人に、
遺産の全てが譲られた場合、または法定相続人の中の1人が、
遺言により本来の法定相続分より多くの財産をもらえる場合、
などはすんなり納得しづらい、という気持ちになる法定相続人も
でてくるのは無理のないことでしょう。

 
その遺言がなければ、法定相続人が全ての相続財産を、それぞれの割合の分は受取る権利をもっていたのです。そこで、民法では、第二順位までの法定相続人には、救済策として遺留分という制度が用意されています。

遺留分の割合は、
  
法定相続人が第二順位[直系尊属=親又は祖父母]だけの場合 
⇒ 被相続人の財産の3分の1
  上記以外 第一順位[配偶者・子供]
 
第二順位[直系尊属=親又は祖父母]の法定相続人がいる場合
⇒ 被相続人の財産の2分の1
この遺留分割合に各法定相続分を掛け算したのが、各法定相続人の遺留分割合です。
  
また、遺留分は自分から主張して初めて発生する権利(遺留分減殺請求権)なので、特
に遺留分の主張する気がない法定相続人は何もしなければよいのです。
法定相続人が自分の遺留分の権利を主張する場合は、本来の自分の法定相続人どおりで
ない遺言による財産の移動があったことを知ったときから1年又は遺言者が死亡した時から10年以内に主張しないと、時効にかかってしまい権利の主張ができなくなります。
   
主張の仕方は特に決まりはありませんが、正式な申し入れであることを示すために内容
証明郵便(特に相手に確実に郵便を送る方法、契約の解除など大事な内容の郵便で使うことが多い)や家庭裁判所の調停申立というやり方が一般的です。調停なら、相手の住所地にある家庭裁判所に申立てます。

  
(2)遺留分の放棄

先に述べた遺留分減殺請求権は、被相続人の生前、つまり被相続人の相続が開始する前に放棄することができます。「この被相続人に相続がある場合に、私が法定相続人としてもらえる権利がある遺留分がありますが、私はいりません」という「遺留分の放棄申立」を、その被相続人の住所地にある家庭裁判所にし、許可を得ます。
 
ただ、遺留分のある法定相続人の1人がその遺留分を放棄しても、他の相続人の遺留分は増えません。あくまでも遺留分は法定相続人各自の分の権利なのです。もし、遺留分がある法定相続人以外の人に、自分の全財産を遺贈したいのであれば、遺留分がある自分の法定相続人に根回しをして、あらかじめ遺留分を放棄してもらっておくのも、もめない方法です。そうしてもらっておけば、もめることなく思い通りに自分の全財産を法定相続人以外の人にそっくり譲ることができます。

*11 民法第1028条(遺留分の帰属及びその割合)
 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合
   被相続人の財産の三分の一  

二 前号に掲げる場合以外の場合
   被相続人の財産の二分の一

コメントは停止中です。